イライラすることが多くて疲れる。
怒りたくないのに怒ってしまう。
そんなイライラに苦しむ人へ、ヒントと的確な方法を教えてくれる本のご紹介です。
僧侶であるアルボムッレ・スマナサーラさん著「怒らないこと」は、とにかくイライラをなんとかしたい私の転機にもなった本。
心がメラメラすること、その挙句、表情や言動にも出てしまって後悔する。誰もがそんな経験をしたことがありませんか…?
何にしても、イライラって本当に良いことないですよね…
この本は、そもそもイライラを生まれさせないための方法と、イライラしてしまった時の治め方を具体的に教えてくれています。
怒りって何?そもそも感情って何?という、「そもそも論」もわかりやすく書かれているので、根本から理解したい人にはおすすめです。仏教の立場から説いていますが、無宗教の私にも激しく共感&納得できる内容でした。
アンガーマネジメントとはちょっとスタンスが違うので、その辺も含め大事なポイントをしぼってご紹介していきますね。
幸せな人生を目指す全ての人に届け…!
「怒らないこと」と「アンガーマネジメント」の違い
まず大前提として、俗に言うアンガーマネジメントとはちょっとスタンスが違います。
怒らないこと | 正しい怒りはない。だからそもそも怒りを生まないトレーニングをしよう。 |
アンガーマネジメント | 怒ることは必ずしも悪いことではない。だから怒りの感情と上手に付き合うトレーニングをしよう。 |
基本的には、どちらも「イライラを減らすための根本治療」と、「イライラした時にすばやく治めるための対症療法」の両面から向き合おうという取り組み。
幸せな人生のために、自分の心を穏やかに保つことに重きが置かれているわけですが、アンガーマネジメントはどちらかというと対症療法にフォーカスされている印象。
なので、イライラそのものを消し去るというよりは、そのイライラの扱い方に気を付けて、後悔しない怒り方をしよう!人間関係を良好にしよう!というのが目的になります。
対してスマナサーラさんが言う「怒らないこと」は、正しい怒りはないという結論から、抑えたり我慢したりするのではなく、そもそも怒りを生まないようにすることが目的。
何が起きようとびくともしない心を鍛え、昨日よりも成長しよう!マシな人間になろう!というのがポイントで、結果、自分が良くなるから人間関係も良くなるよねということを説いています。なので、8割は根本治療についての内容が力説されていると思います。笑
なぜ「正しい怒りはない」という結論付けがされているのかは、後ほどご紹介しますね。
「怒らないこと」知ってよかったポイント
感情は「愛情」と「怒り」でできている
そもそも感情とは、人が、物事や対象に対して抱く気持ちのこと。
安心、悔しい、心配、驚き、幸福、緊張など、何種類もの感情がありますが、大きくは「愛情」と「怒り」の2つだそう。
怒りと聞くと、「不満」「怨み」「不愉快」など、間違いなくイライラだろう感情を思い浮かべる人も多いと思います。でも実際は「悲しい」「絶望」「後悔」「罪悪感」「焦り」なども怒りに分類されるんですね。
なぜかと言うと、それらも暗い感情=明るさのない感情になるため、いずれ怒りへと変身するからなんです。
例えば、自分のミスで仕事のトラブルがあったとします。
最初は、なんてことをしてしまったんだ…と落ち込んだり、後悔の気持ちでいっぱいだったのに、「そもそも上司の説明が悪かったからだ、なんで私が謝らなければいけないんだ」と、どんどんイライラするなんて経験はありませんか?
暗い感情はいつだって怒りに変わる可能性があるんです。

そう考えると、愛情いっぱいの心で過ごしていることって少ないなあと実感します…
怒りは体を壊す
イライラすることは、自分の体を破壊すること。それは決して大袈裟ではなく、本当に、物理的に壊れてしまうのだと。
仏教では怒りを「火」に例えていますが、心がメラメラしている時、実際に体は熱を持つため、火事と一緒で、すぐ消さなければ燃やし尽くされるのみ。
怒りは火事のように実際に火が見えるわけではないので、自覚しづらく、知らぬ間に体を壊すという本当に恐ろしいものなのです。
ちなみに、「最初に影響を受けるのは内臓」だそう。
実は、私はイライラが原因で肝臓を壊し、1年半ほど療養した経験があるため、この話には驚きを隠せませんでした。心の問題は、体にもしっかり影響が出てしまうことをよく理解しなければと思いましたね…
どんな怒りも正当化できない
「正しい怒りはない」というのが結論で、「怒りは悪、間違いだ」と明言されているのですが、その理由を「戦争」を例にご紹介しましょう。
戦争は「怒り」という攻撃的な感情から始まります。
あの国は言うことを聞かなかった、だから我々は怒っている、戦争だ!
殺人も同じ。
気に食わないことがあったとしても、自分の怒りを正当化すれば、人を殺しても良いということになります。
そんなことが良しとされれば世界は崩壊してしまいますよね。
小さな小さな怒りでも、その延長線上にはいつだって「戦争」や「殺人」が起こる仕組みになっているということを考えれば、どんな怒りも正しくないという結論に至るはず。
でも、生きていれば、ここははっきりと怒っていいだろうと思う場面はたくさんあって、怒りなしで対応するのは簡単ではない…ですよね。100%相手に問題がある場面だったら、やっぱり怒りをあらわにしてしまうと思います…
ただ、本当は怒らずとも解決可能で、怒りがなければ冷静に話もできるもの。むしろ、怒りがある状態では、何を言っても言葉は届かないんですよね…

もう起きたことなのだから気にしない!とできるようになったら、なんだか怖いもの無しな気がします。
「怒らないこと」から学ぶ!イライラを治す方法
【1】そもそもイライラを生まれさせない方法
希望を持たない
世の中は、希望通りに進まないもの。希望を持つこと自体がイライラの原因になります。
晴れてほしいと願っても雨は降るし、今日は上司に注意されませんようにと願った日ほど、とことん注意されたりする。自分に都合の良い希望は持たず、起こる全てを「必要なこと」だと受け入れる心が大切になります。
自分は「間違いだらけだ」とインプットする
人が怒る時はいつでも「私が正しく、相手が間違っている」という心になっています。
反対に、相手が正しいと思えば怒ることはないはずで、あっ…そうですよね、はい。と納得するのではないでしょうか。
普通に生きていたら、感情に振り回され、愚かな失敗もして、そんな人間が正しく完璧であるとは到底言えません。「私が正しいとは言えない、間違いもたくさんある」と理解できれば、相手に完璧さを求められなくなり、イライラが生まれにくくなります。
【2】イライラが生まれた時にすばやく治める方法
今の瞬間の怒りに気付く
仏教的には「怒りを観る」と言うそうですが、今自分はイライラしているぞ…と気付くことがまず大切。怒りに気付こうと意識すれば、反射的に言動に出てしまうことも減りますよね。
仏教の世界では、怒りを観ることができれば怒りは消えると言われているほど。自分の心を客観的に観れるので、軌道修正がしやすくなるんですね。怒りに飲み込まれない自分でいるために、とても効果的な方法だと思います。
とりあえず笑う
怒りと笑いは両立しないため、イライラしたらとにかく笑えと。それが難しかったりするんですけど…汗
笑ってしまえばかなりの怒りは消えてしまうそうです。
もっと言うと、笑えるということは、怒っている事実に気付けているわけなので、十分心のトレーニングになります。
後々自分で自分をコントロールできるようになり、結果的に、周りにも愛される人になることは言うまでもありません。
喜びの感情で満たして、幸せな人生に

ここまでいろいろ話してきましたが、単純に、喜びでいっぱい!であれば幸せで、怒りでいっぱい!であれば不幸です。出来事によって感情が左右されていると思いがちですが、本当はいつだって心を自分で決められるんですよね。
寝坊して遅刻確定になった朝、焦りと、昨日飲み過ぎた自分への苛立ちと、そもそも飲みに誘った上司への恨みと、暗い感情でいっぱいになることってあると思います。
ですが、「最近たるんでいた自分へのメッセージかもしれない」「この失敗を挽回するぞ」と心に決めてしまえば、怒りはなくなり、前向きな気持ちで会社に向かえるんです。
常に出番を待ち構える「怒り」をなくすのは実際簡単ではありません…!でも、気付いては治して、気付いては治してを繰り返すことで徐々に小さくしていけるはず。
今までは起きていた人間関係のトラブル、やらかしてしまった自分への後悔がきっと減っていきますよね。
イライラは仕方ないんだ、治すのは不可能だと思っていた人も大丈夫。
めげずにコツコツ続けていけば、きっと変われます。
イライラを手放すために、一緒に頑張りましょう…!
今回ご紹介したのはほんの一部なので、より理解を深めたい人は読んでみてくださいね。

